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逃避行 篠田節子著 [イナモトが読んだ本]

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私の好きな作家さん、篠田節子さんの作品。
主人公の妙子はパート経験さえもない50歳の専業主婦。結婚してから自分のことは二の次にして家族のために尽くしてきた。
ところが、今となっては夫や娘たちとの関係もギクシャクしていて、ペットのゴールデンレトリバーのポポだけが良き理解者。「夫のいびきには殺意を覚えるが、ポポのいびきは愛敬を感じる」くらい[あせあせ(飛び散る汗)]

しかし!ある日、なんとポポが隣家の子供を咬み殺してしまう。
夫と娘達は、もはや子殺し犬となってしまったポポを処分するため、保健所に連れて行くと言う。ポポを子供同様に可愛がっていた妙子はそうさせまいと、全てを捨ててポポを連れて逃亡する。

家事を完璧にこなし、二人の娘を立派に育てあげたのに、こんなことになるなんて悲しい。妙子は自身が40歳の時に、夫が人に「カミさんはもう女としては終わってるから」と言っているのを聞いてしまいます。
実はうちの夫もそう思ってるのかな(私43歳)・・・と思うとちょっとばかりショックです。
若さに輝くわが娘たちと、老いていく自分をつい比べてしまう。これくらいの世代の女性の寂しさも滲みでています。

妙子には、娘の子供時代のママ友など、付き合いのある友人はいたのに、この非常事態を相談できる人は一人もいなかった、というのもやるせない。人の付き合いってそんなもんなのかなー。

世間知らずだった妙子が逃亡を続けるうちに色んな世界を知っていく過程も面白い。本来優しい犬種のポポと妙子が野生化していくのも自然の摂理だなぁと納得。

「リタイア後の憧れの田舎暮らし」の落とし穴や、核家族化した今の日本の家族のもろさも描かれていて、考えさせられます。

陶芸家のワケアリ風のおじさん、いい味だしてます。普通の主婦と犬の逃亡劇。続きが気になって一気に読みました。
妙子が乗った車を必死に追いかけてくるポポの姿を思ったら涙が出ました。犬は人を裏切らないもんね。




タグ:読書感想文
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